イマージョンプログラム 説明会より
■「家庭的な雰囲気を取り込んだ空間です」
教室のミニキッチンを指差しながらディレクターのベネヴェンティさんが説明をしてくました。
六本木にあるアメリカンスクールのEarly Learning Center(以下、ELC)で開催されたイマージョンプログラムの説明会。
イマージョンプログラムは、2013年から開講された日本語を母語とした子どものためのコースです。
対象年齢は、4歳。
入園希望年度の6月1日までに満4歳になるお子さんを対象としています。
このイマージョンプログラムは、3年間で子どもの英語力を総合的に引き上げていきます。
ELCに入学し、Pre-K(幼稚園年中に相当)からKindergarten(年長に相当)と2年間学びます。
3年後には、調布キャンパスでGrade1(小学1年生に相当)に進学していくコースです。
■イマージョンプログラムの対象となるお子さんは
日本語能力の基礎ができていること、幼稚園などの学習環境で学んだことていることが前提となっています。
ちなみにアメリカンスクールの新学期は、8月から。
記念すべき第1期生が、2013年8月に入学しました。
今回は、このイマージョンプログラムに興味のあるお子さん、保護者を対象とした説明会でした。
対象となる子どもにとって、最初の2年間を過ごすELCは重要な意味を持ちます。
そのため説明会で、校舎を見学してもらい、責任者から話を聞く機会が設けられました。
■家庭的な雰囲気を大切にした校舎
説明会で重要とされたのが、子供たちがスムーズに環境に慣れることための工夫でした。
ELCは、1階が3歳からのナーサリー(Nursery)、2階がプレキンダー(Pre-kinder)、3階がキンダー(Kinder)と学年で使い分けています。
各フロアーには、主に教室とメインスペースがあります。
教室は少人数で使われ、授業によって、音楽室や図書室、コミュニティールームが活用されます。
そのなかで、子どもたちが一日の時間を多く過ごすのが、メインスペースです。
■メインスペース
メインスペースは広々としており、視界をさえぎる仕切りがありません。
大きくとられた窓から陽が差し込み、机やイスが並びます。
片隅には、絵本のナーサリー並んだ本棚、道具やおもちゃが入っているラックが見えます。
また、籐で編んだ小物入れなど、自然の素材で作られた物が多く 環境にも配慮されていることがわかります。
メインスペースは、フローリングとカーペットが引いてあることで、機能的に分けられています。
フローリング部分には、机やイスが並び、絵を描いたり、工作をしたり、机を使った作業ができるようになっています。
近くにはミニキッチンもあり、まるでオープンキッチンとリビングのような感じがします。
このフローリングの空間は、活動的な空間となっていました。
その一方で、メインスペースの奥には、カーペットがひいてあり、落ち着いた空間が広がります。
カーペットの上に座り、先生の話を聞いたり、そのまま座って本を読んだりできます。
奥にあるロフトがおもしろい。
まるで隠れ家のようです。
このロフトで、お気に入りの本を読む子もいるそうです。
広いメインスペースでしたが、コーナーごとに雰囲気が違い、子どもにとって楽しさが詰まった空間でした。
■ミニキッチン
各学年とも、メインスペースにはミニキッチンがあります。
ミニキッチンといっても、日本のサイズからすると「ミニ」とは思えません。
コンロもふたつあり、シンクも大きいものでした。
ミニキッチンは、カウンター型でメインスペースと一体となり、視界をさえぎるものがありません。
そのため、自然とメインスペースに家庭的な雰囲気がただよいます。
ミニキッチンを使い、調理の授業もあります。
■コミュニティールーム、図書室、音楽室
図書室には、絵本から図鑑まで幅広いジャンルが並んでいます。
貸し出しも可能で、週末には多くの生徒が借りていくそうです。
音楽室では音楽の専門家による歌の指導やダンスや合奏があります。
また、世界中の音楽について学ぶ機会も設けられているのがアメリカンスクールらしい授業です。
小さな体育館のようなコミュニティールームでは、体を動かす授業、特別活動などで使われます。
■作品の展示
見学中、少し経ってから階段や壁に展示されている絵が生徒の作品ということに気づきました。
子供たちの描いた絵や工作がインテリアのように配置してあり、溶け込んでいて、気付くのに時間がかかりました。
窓際の観葉植物も近づくと生徒の名前が書いてあります。
観察中の植物でした。
空間全体を使い、インテリアのように子どもたちの作品を展示する発想を強く感じました。
説明会でも「生徒の作品をどのように展示すのか、担任の先生がいろいろ考えて展示をしています」とベネヴェンティさんが説明されていました。
まるでリビングにインテリアのように子どもたちの絵や工作などが飾ってある、そんな展示方法でした。
説明会で気付いたこと
■プレイグラウンド
六本木ヒルズの一角にあるELC。
プレイグラウンドには、カラフルな遊具が並び、木々の緑が目に入ってきます。
かわいい遊具のなかで目を引いたのが三輪車。
一人乗りだけではなく、二人乗りのサイドカータイプもありました。
三輪車に乗る時も、ひとりで乗るのか、友達と一緒に乗るのか、遊びのなかにも状況判断やコミュニケーションを必要とすることがわかります。
また、カラフルな子供用の椅子も並んでいましたた。
天気がいい日は、ちっちゃなミーティングが開かれるのが目に浮かびます。
■説明会で気付いたこと
それは、親も子供と共に成長するチャンスという発想です。
ELCでは、PTAによるワークショップが開催され、子どもの成長や学習について先生方と話す機会が多く設けられています。
また、PTA主催で、講演会も開催されています。
保護者同士も行事などを通じ、学校と積極的に子供の教育に取り組んでいくことが求められます。
学校、保護者が協力して、子どもの発達、成長を見守る。
■日本文化について
日本文化、伝統を取り入れたプログラムがある。
お餅つき、花見、太鼓などが代表的です。
なかでも面白いのが「相撲」。
ELCの課外活動で相撲のプログラムもあります。
小さな横綱が六本木でしこを踏むプログラムです。
*日本語の授業は、調布キャンパスに進んでから開始されます。
■アメリカンスクールの同窓生について
アメリカンスクールの同窓生は、各分野の第一線で活躍しています。
日本人で初めてMITのメディアラボの所長になり、NHKの「スーパープレゼンテーション」のナビゲーターを務める伊藤譲一さん、ソニー CEOの平井一夫さん、宇多田ヒカルさんなど多方面での活躍が目立ちます。
歴史的にも、駐日アメリカ大使を務めたエドウィン・O・ライシャワーやアカデミー賞の主演女優賞のジョーン・フォンテインなどを輩出しています。
■アメリカンスクール・イン・ジャパンの卒業生の現ソニー株式会社取締役平井一夫さん。母校で講演をしています。
■アメリカンスクール・イン・ジャパンに在学中に彗星のように音楽界に現れた宇多田ヒカルさん。
■MITのメディア・ラボの所長の伊藤穰一さん。
■アメリカンスクール・イン・ジャパンを知る1冊
櫛田健児著「OBトーク インターナショナルスクール入門」
アメリカンスクールについて最も詳しい一冊です。
また、インターナショナルスクールの課題を浮き彫りにし、提言を含め、深い考察で書かれています。
実は、櫛田健児氏の母親は、元アメリカンスクールの先生。
また、ご自身もアメリカンスクールのOBです。
スタンフォード大学を経て、現在、カリフォルニア大学バークレーで研究者として活躍されています。
「バイカルチャーと日本人」も中公新書ラクレより発刊されています。
アメリカンスクールを知るには必須の本です。
3つのポイント
【入学機会】
日本語を話す家庭の子どもでもアメリカンスクールに入学できる。
【教育機会】
アメリカンスクールの優れた教育を受けさせることができる。
【保護者の語学力】
保護者の英語力について、ネーティブレベルを必要としていない。
アメリカンスクールに通うには、従来、保護者、子どももそれなりの英語力を必要とされてきました。
しかし、今回のイマージョンプログラムのクラスは、日本語を母語としている子どもが対象です。
保護者のどちらかがある程度英語でコミュニケーションが取れるならば、入学機会が増えることになります。
詳しくは、オープンハウス(入園説明会・要予約)で聞くことができます。
■もし子どもが入学したら?
通学について
ELCは保護者の送迎が必要。
調布キャンパスに進んでからは、スクールバスの利用もできます。
もちろん、電車通学、親の送り迎えもできます。
昼食
ELCでは、お弁当が必要です。
調布キャンパスに進むとカフェテリアも利用できます。
■PTA
日本の学校でも保護者の協力でさまざまな行事が成り立っています。
そこはアメリカンスクールも同じです。
しかし、より積極的な協力が求められます。
例えば、主な学校行事も
1、ウィンターフェスト
2、スピリッツデー
3、スプリングガーラ
4、ペアレントワークショップ(毎月1回)
この他に課外活動もあり、保護者が積極的に学校に協力していくことが必要です。
アメリカンスクールの保護者の姿 ~ウィンターフェストから~
■ウィンターフェストは、例年12月上旬に開催されています。
父兄や在校生が中心となって開催されるイベントです。
当日は、各国の自慢料理が並ぶフード、メイングラウンドで開催される子供向けゲームコーナーやインターナショナルスクールバザーなど。
一日あっても回りきれないほど多彩なイベントが開催されています。
*ウィンターフェストは基本的に一般公開されておりません。
■「このマフィンはキンダーのお母さんたちの手作りですよ」
ミドル・スクール(中学校に相当)の多目的室にカラフルなマフィン、パウンドケーキ、クッキーがずらりと並ぶ。
私たちは、販売を担当しているけれど、それぞれなにを担当するのか、話し合っているんです。
たとえば、このマフィン。お菓子を作る保護者のグループがいて、それぞれの得意な物を作っています。
生徒もそうだけど、保護者もいろいろな国から来ているからお菓子も色どりや形もぜんぜん違うでしょう。
視線の先には、三段のケーキのような焼き菓子、ピンク、グリーンなどカラフルなトッピングシュガーが散りばめられたマフィンやカップケーキ。
雪だるまや星、木のかたちのクッキー。
いくつものテーブルに目に鮮やかな焼き菓子がならんでいます。
このお菓子をパッケージしてくれる担当グループがいます。
みんな得意な物を作ってきてくれるので、そのグループがマフィンやパウンドケーキ、クッキーを買いやすいように分けて包装してくれるの。
これなんてプレゼントにもできるでしょう?
そういって見せてくれたのがパウンドケーキやマフィン、クッキーがバスケットに入っているセット。
かわいらしいバスケットにきれいなラッピン。
プレゼントにちょうど良いサイズです。
カラフルなトッピングシュガーでデコレーションされたカップケーキやクッキー。
もちろん、今すぐ食べることができるように1個ずつのマフィンやクッキーもありました。
プレゼント用からお土産用、その場で食べたい人までそれぞれの用途に合わせて包装されているのに感心しました。
値段も包装してくれる人がつけてくれるんです。
それで、私の担当は販売です。
そう笑って答えてくれました。
檀上では、ちょうどELCのフラダンスグループが踊りを披露していましたが、その他にコーヒーや飲み物の販売をする保護者の姿が見えました。
■実は、これはほんのひとコマ。
アメリカンスクールには3つの体育館、多目的室、ダンススタジオ、アメフトができるグランド、サッカー場、シアターなど充実した設備があります。
校舎のいたるところでブースがでていました。
■保護者の役割分担が明確なのに気づきます。
飲食関係でも、カフェテリアでインターナショナルフードブースにブラジルからフランスまで12か国近くの料理が出ていました。
さらに小学校のバス乗り場ではアメリカのホットドック、ハンバーガーや日本の焼き鳥、タイの麺類などがインターナショナルグリルとして出展されていました。
学校の校舎、グラウンドでは、ネイルアートから着物を着て写真を撮るブース、ハロウィンの衣装や衣類・生活用品のユーズドセール、子どもを対象とした工作コーナーなどが保護者によって出展されています。
保護者も得意な分野を楽しみながら出展する姿が見えました。
もちろん、生徒、教職員や同窓生も参加しています。
しかし、ウィンターフェストがここまで幅広く開催できるのも保護者の協力があるからこそ。
普段から自分の子供の教育を考え、実践している保護者の姿が見えました。
また、歴史のある学校のため、保護者会にも代々どのように協力するのかノウハウが蓄積されているようです。
アメリカンスクール・イン・ジャパン アーリーラーニングセンター概要
■3年間のイマージョン教育
このプログラムは、3年間のイマージョン教育により、調布の通常クラスに入っていくことを前提にしています。
そのため2年間を六本木のアーリーラーニングセンター、3年目から調布キャンパスに移り、通常クラスに入っていくためのフルサポートを受けます。
■募集情報
募集
Pre-Kindergarten Class 年中組 数名
対象
入園希望年度の6月1日までに満4歳になるお子さん
日本語能力が優れていること
幼稚園など学習環境で学んだことがあること
資格
両親またはひとりが英語でコミュニケーションを取れること。
ネーティブレベルの必要はありません。
■入園までの流れ(予定)
10月~ 願書受付
1月下旬 入園選考/保護者面接
2月上旬 クラス見学および体験
3月下旬 合格発表
8月下旬 入園
■入園の相談について
入園相談は、メールで問い合わせください。
随時、入園相談をしています。
アメリカンスクール・イン・ジャパン
Early Learning Center
アーリーラーニングセンター
〒106-0032
東京都港区六本木6-16-5
予約連絡先
アーリーラーニングセンター
Tel 03-5771-4344
URL:http://www.asij.ac.jp/page.aspx?pid=2423
email [email protected]
Q.1 入学時期はいつですか?
A. 毎年8月から入学です。
Q.2 何歳から?
A. (入学時に)4歳となるお子さんが対象です。
入園希望年度の6月1日までに満4歳になるお子さんが対象です。
Q.3 それ以外の子は?
A. 4歳児のみ対象です。
編集後記
本記事を作成するにあたり、ソントン副学長、アーリーラーニングセンターのベネヴェンティ様、マット様、吉津様そして、今回も吉田様に大変お世話になりましたありがとうございました。
インターナショナルスクールタイムズの編集長として、執筆しながら国際教育評論家として、NHK、日本経済新聞やフジテレビ ホンマでっかTV、東洋経済、プレジデント、日本テレビ、TOKYO FMなど各メディアにコメント及びインタビューが掲載されています。
プリスクールの元経営者であり、都内の幼小中の教育課程のあるインターナショナルスクールの共同オーナーの一人です。
国際バカロレア候補校のインターナショナルスクールの共同オーナーのため国際バカロレアの教員向けPYPの研修を修了しています。