2014年05月12日

【インタビュー】 コロンビアインターナショナルスクール理事長 田中博さん「日本人が一番英語を学んだ時代はいつだと思いますか?」

『日本人が一番英語を学んだ時代はいつだと思いますか?』コロンビアインターナショナルスクール創設から約四半世紀を越えました。自らインターナショナルスクールを創立し、日本の教育と各国の教育事情についても精通している田中理事長にお話をお伺いしました。


 

『日本人が一番英語を学んだ時代はいつだと思いますか?』

明治ではないでしょうか。
コロンビアインターナショナルスクール創設から約四半世紀。
自らインターナショナルスクールを創立し、日本の教育と各国の教育事情についても精通している田中理事長にお話をお伺いしました。

さかのぼると江戸時代は、オランダ語、ポルトガル語が重要でした。
一方、明治以降、英語が重要な言語となります。
その背景には、産業革命がイギリスで興り、アメリカが世界で力をつけてきた背景がありました。
世界的な覇権が英語圏に移ることで、外国語として英語が重要な言語となったのです。

 

そのため、明治維新後、1900年(明治33年)に夏目漱石は英語研究のために英国留学を命じられています。

国際教育について話してほしいという要望が多くなりました。

国際教育について話してほしいという要望が多くなりました。

コロンビアインターナショナルスクール講演会では
『今までも総合商社やメーカーなどさまざまな企業が海外進出し、どの国に行ったとしても英語が必要とされていました。
 今では、他の多くの職種でも各企業が英語に関する具体的な姿勢を打ち出し、むしろ”英語が必要”ではなく、”不可欠”という時代になりました。』と話します。

 みなさん、深くうなずき、熱心にメモを取りながら、聞いています。
 講演後には、「子どもが、孫が英語を習得するにはどのようにしたらよいでしょうか?」と相談してきます。

多くの方に私が、アドバイスさせていただくことがあります。

多くの方に私が、アドバイスさせていただくことがあります。
それは、『英語を本気で学ばせるならば、早く英語環境を用意し、身に付けさせた方がいいですよ』ということです。

なぜなら、子どもの方が英語の習得が早いからです。
小さい頃から英語の環境にいると、英語を学ぶのではなく、身に付けていきます。
身に付ける方が発音も良くなりますし、自然と体得していきます。
例えば、インターなどで早くから英語環境のなかで学ぶことが重要なのです。

みなさん「その通りですね」と深くうなずき、納得して帰っていきます。

その後、講演会で、私にアドバイスを求めた方にお会いすることがありました。

話しのついでに、「お子さん、お孫さんはその後、どのように英語を学んでいるのですか?」とお聞きすると、多くの方が答えにくそうに「まだ考え中です」と答えるのです。

英語の不可欠性はみなさん十分わかっていらっしゃいます。
しかし、お子さん、お孫さんに英語を身に付けさるためにもう一歩が出ないのです。

残念で仕方ありません。

 

身に付けるのか、学ぶのか。

当校の生徒たちは小学生高学年になると、ほぼネイティブレベルになります。
そのため、大人が英語を学習するような苦労を経験しません。
コロンビアインターナショナルスクール英語が自然と身に付く環境だからです。

実は、先日、外国人のご両親が「うちの子は、英語が充分でないから入学させてほしい」と相談に来られました。

不思議かもしれませんが、両親が英語のネイティブスピーカーであっても日本の学校に通っていると子どもは日本語が母語になります。

家で親子の会話は、英語です。
しかし、一番重要な学校や友達と遊んでいる時は、日本語を使っています。
生活のほとんどが日本語の環境です。

すると見た目は外国人ですが、英語よりはるかに日本語が上手な子になります。
この子の場合、日本語が母語になるのも時間の問題でした。

ご両親もさすがに心配されて、相談に来られました。
そこで、当校に入学し、事なきを得ました。

このエピソードでもわかると思いますが、子供にとって「生活環境が言語を選ぶ」といえます。

 

早く身に付き、早く忘れる

当校にお子さんを通わせている保護者の方、見学された方が一概に感心されるのが、子どもたちの英語の上達スピードです。
みなさん、子どもたちの上達スピードに舌を巻きます。

しかし、子どもたちは、英語を身に着けるのが早い分、忘れてしまうのも大人より早いのです。

例えば、幼稚園、小学校である程度英語を習得しても、その後、中学、高校と英語を使わない環境にいるとすぐに忘れてしまいます。

 

しかし、大人は、逆です。
英語の習得に時間がかかりますが、子どもより忘れるのも遅いのです。

大人と子ども両方に共通しているのは、「使わなければ、忘れる」ということです。

帰国生の保護者の方で「帰国後、たった半年で子どもが英語を忘れはじめている」と相談されてくる方がいます。

この場合も、英語を使う環境がないと、驚くほど速く英語を忘れる例だと思います。

子どもたちは、大人より英語の上達が速いのですが、忘れるのも早いのです。

海外に進学してほしい。

コロンビアインターナショナルスクールは、1988年に高等部から創設されました。
その理由は、高校留学を後押しし、海外の大学へ進学させるためでした。
創立から約四半世紀が経ち、社会、教育環境も大きく変わりました。

日本の大学では、ICU、上智、早稲田大学、で国際教養学部が創設され、英語指導による授業が行われています。

進学先に上智、ICU、早稲田などを選ぶ生徒もいます。

 進学先に上智、ICU、早稲田などを選ぶ生徒もいます。

 しかし、できれば海外の大学へ進学して欲しいと思います。

 創立時から、海外留学を前提としたカリキュラムと支援体制を作ってきました。

 幼、小、中、高とカナダの『疑問を見つけてその疑問を解き、解決していく力』を養い、語学力も十分に身につけています。

 我が校で身に付けた教育は、海外の大学で学ぶと相乗効果がさらに引き出せます。
 例えば、疑問を見つけてその疑問を解き、解決していく力などは、海外の大学で、さらに生徒の中で体系的に深く落とし込んでいくことができます。

せっかく、コロンビアで毎日探究型の教育で育ったのですから、ぜひ海外に進学し、大学の4年間さらに勉学に励んで欲しいと思っています。

 日本の歴史・文化を知り、相手の歴史・文化を理解し、海外から日本を見る体験は真の国際人への第一です。

カナダほど教員免許に厳しい国はないと思います。

 カナダほど教員免許に厳しい国はないと思います。

 例えば、教員免許の取得は、大学で教育学部を卒業していないと取れません。

 しかも、日本とは違い州ごとの教員免許です。

 日本のように、理工学部の学生が、授業の合間に教職課程の単位を取り、教員になることはできません。

 もし、教員になりたいと考えたら、理工学部を卒業後に、教育学部に入り、教員免許を取得する必要があります。

 この辺にカナダの教員養成の考え方が反映されていると思います。

カナダの大学授業風景

アメリカの教員資格とカナダの教員資格

 アメリカの教員資格を持っていても、カナダでは、教育学部で教員免許を取得していないと教えられません。
 もちろん、日本にあるカナダ・オンタリオ州教育省認可の当校であっても同様で、新たな審査が必要です。

 しかし、カナダの教員免許持っている人は、原則アメリカ系のインターで教えることができます。

 なぜならば、カナダで教員免許を取得した人は、必ず教育学部で取得しているからです。

 

カナダのオンタリオ州教育省のホームページには、27ヶ国語で保護者向けに重要な情報を公開している。
引用 カナダ オンタリオ州教育省 http://www.edu.gov.on.ca/eng/parents/multiLanguages.html

中国、韓国のインターナショナルスクールの増加

インターナショナルスクールの国際会議で、気付くこと。
それは、中国、韓国のインターナショナルスクールの増加です。

毎回、会議に出席するたび、中国、韓国は、校数も増え、どんどん出席者が増えてきます。

一方で、日本からの出席者の顔ぶれは、ほとんど変わりません。

インターナショナルスクールが増えないのは、日本だけです。

最近では、ASEANでインターナショナルスクールが増えています。

インドネシア、タイ、マレーシアの増加が目立ちます。
さらに、ASEAN以外では、特にインド、中東の国々で増えています。

これらの国では、国がインターナショナルスクールを後押ししています。
インターナショナルスクールが増えると国の教育を引っ張る原動力となるからです。

国が、積極的にインターナショナルスクールを後押しし、全体の教育水準を引き上げるために活用していく。

インターナショナルスクールの国際会議に出席するたびに、日本のインターナショナルスクールが置かれた状況に変化がないことを感じます。

コロンビアインターナショナルスクール 基本情報

コース 
・幼・小・中・高
   
各認定 
・WASC
・カナダ オンタリオ州教育省

<主な費用>
・入学金
 幼稚園~中3 210,000円
・施設費
 小1~中3 420,000円
・授業料
 幼~中3 1,575,000円
・メンテナンス費
 幼~中3  150,000円

<外部生が参加できるプログラム>
・サマープログラム
・サタデースクール

住所
〒359-0027 埼玉県所沢市松郷153
Phone: 04-2946-1911 Fax: 04-2946-1955
E-mail: office@columbia-ca.co.jp

コロンビアインターナショナルスクール 卒業生 進学先

北米の大学に強いことがわかります。
特にカナダの名門大学は例年、進学しており、
McGill University、University of British Columbia、University of Torontoなど世界大学ランキングの上位のカナダの大学が並んでいます。
また、アメリカの大学では、Boston University、University of California Berkeley、University of California Los Angelesなど主要大都市の大学に進学しています。
日本では早稲田大学、慶応大学、青山学院大学、ICU国際基督教大学、上智大学など関東の大学に卒業生が多いのが特徴です。
イギリス、フランス、イタリア、スイス、オランダなどのヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランドの北半球や韓国、台湾などアジアなどさまざまです。
海外からの生徒は、母国の大学に進学することが多く、ヨーロッパはその傾向が強いようです。
カナダの教育は「世界に通じる」ことを進学実績から読み取れますね。

年少~小学6年生を対象としたサタデースクールが開校されています。
また、サマースクールも人気のプログラム。
こちらを参考にしてください。

サタデースクール

4月から3月の毎週土曜日 27回(9回/学期)
学校のイベントなどで休校の場合もあります。

授業時間 午前9時~午後1時
募集人数 年少~小学6年生:計100名
クラスサイズ 1クラス 10-15名
費用 入学金: ¥35,000
授業料  ¥270,000 (年間) 
授業内容 英語、世界の国々、理科、コンピューター、算数 他

サタデースクールはこちら

サマースクール

サマースクールは、短期集中プログラム。一週間から申し込めるので、英語に触れるチャンスですね。

募集学年
キンダークラス:年少、年中、年長
低学年クラス:小学1,2年生
中学年クラス:小学3,4年生
高学年クラス:小学5,6年生
ジュニアクラス:中学1,2,3年生
シニアクラス:高校1,2,3年生

期間
1- 2016年7月11日 (月)~7月15日 (金)
2- 2016年7月18日 (月)~7月22日 (金)
3- 2016年7月25日 (月)~7月29日 (金)
4- 2016年8月1日 (月)~8月5日 (金)
5- 2016年8月8日 (月)~8月12日 (金)
※5週間全期間、または1週間/2週間単位での参加も可能です。
※週ごとに教材やテーマが変わるので、どの週から初めてもお楽しみ頂けます。

時間 9:30~14:30(昼休み含む)

人数 各学年1クラス 10~15名(最低履行人数7名/クラス)
(状況によりクラス数や受け入れ人数が変わる場合があります。年齢と英語力を参考にクラス分けをします。)

費用
1週間  →全学年:35,000円
2週間  →全学年:70,000円
3週間  →全学年:105,000円
4週間  →全学年:140,000円
5週間  →全学年:175,000円
※料金にはプログラム期間中の傷害・損害保険料が含まれております。
内容 授業や学校生活は全て英語です。英会話や発音、スペルなどの他、ゲームなどを取り入れた算数、理科、社会、国際文化、アート、体育などの要素を含む授業です。

サマースクール情報はこちら

カナダの教育について

州が権限と責任を持つ、カナダの教育制度の特徴
<教育は州が管轄・州によって教育制度が異なる>
 カナダは10の州と3つの準州とで構成される連邦国家で、各州の独立性が高く、憲法で教育の管轄権は州にあり、州が責任を持つことが定められています。日本の文部科学省のように国レベルで教育を管轄する機関はなく、連邦政府は国としての指針を出しますが、教育内容や基準の設定、カリキュラムの策定、教員免許の発行など教育の管理・運営にかかわることはすべて州政府の教育省が行います。そのため、州によって教育制度が異なることがあります。

取材後記

 コロンビア創立から約四半世紀。

 今回の田中理事長のインタビューで浮き彫りにされたこと。
 それは、政治、経済分野だけではなく、教育でもアジアの国々が追い上げていることでした。

 そのなかで、変化を進めるために必要なもの。
 それが、『危機感がない』ではないか、と田中理事長がお話ししてくださいました。

 グローバル化は、個人では変えられません。
 もちろん、止めることもできません。

 しかし、明治維新の頃のように「国として、本気で海外の国々とコミュニケートしなければならない」という切迫感は感じられません。

 江戸末期から明治維新後は、人々の「このままでは、欧米列強の支配下に入ることになる」という危機意識が、国家体制さえも変えていきました。

 グローバル化がさらに進み、英語が不可欠となった今。

 「危機感」が人を「行動」に動かします。


この記事の記者

インターナショナルスクールタイムズの編集長として、執筆しながら国際教育評論家として、NHK、日本経済新聞やフジテレビ ホンマでっかTV、東洋経済、プレジデント、日本テレビ、TOKYO FMなど各メディアにコメント及びインタビューが掲載されています。

プリスクールの元経営者であり、都内の幼小中の教育課程のあるインターナショナルスクールの共同オーナーの一人です。

国際バカロレア候補校のインターナショナルスクールの共同オーナーのため国際バカロレアの教員向けPYPの研修を修了しています。