2017年03月21日
国際バカロレアのカリキュラムの中に「キャリア関連プログラム」というプログラムがある。若いうちに勉強しながら自分の好きなことを追求できるこのプログラムについて、イギリス、リロケーションコンサルタント会社「Relocate Global」の 記事をご紹介しよう。ロンドンのChika B記者の視点が光ります!
国際バカロレアシステム(the International Baccalaureate )でカリキュラムの一環である、キャリア関連プログラム(Career-related Programme ) が生徒のその後の進学や就職に大いに役立っていることが最近の調査でわかった。
この調査は、ウオーリィック雇用研究施設(The Warwick Institute for Employment Research 以下IER)が、2014年にキャリア関連プログラムを経験した国際バカロレア卒業生339人に対して行ったもので、生徒のうちの75パーセントが、キャリア関連プログラムが大学進学に役立ったと感じ、71パーセントの生徒が世界で働くための準備になったと感じていると報告している。
各産業界の代表、大学の入学事務局、そしてUCAS(イギリスの学士課程への入学に必須の総合出願機関)等は、生徒が学校で選んだ科目について学び、そしてその勉強を生かした職業体験をする、という勉学と実地体験の2点が組み合わさっているキャリア関連プログラムを高く評価している。また、これらのプログラムを通して、今後、生徒が社会で成功するのに大いに役立つだろうとの見解を示している。
海外へ転勤の多い家族や国際バカロレアに興味のある方にとって、このキャリア関連プログラムがどのように子供の将来の仕事に結びついてくのかを知っていて損はないはずだ。
キャリア関連プログラムとは、国際バカロレアを採用している学校で16歳から19歳までの生徒を対象とした総合学習プログラムである。まず、 生徒は、キャリア関連プログラムにふさわしいと思う少なくとも2科目を選びそれについての勉強を進める。そして、その科目に関連のある実地体験、職業体験を行う、という学問と職業体験を同時に行うプログラムだ。
この勉強と実地体験を同時に行うプログラムは、
「将来のキャリアや進学先を考えた時に必要となる、経験やスキルを得る手助けになる」
と生徒にとても好評だ。
そして、 生徒がすでに知識と職場経験を経て入社や入学をしてくることは、雇用先や進学先にとっても 、魅力的なのだ。
アフリカ、ヨーロッパ、中東地域の国際バカロレア発展部長、ジョンハリガン氏(Jon Halligan)は次のように語る。
「キャリア関連プログラムの大きな魅力の一つは、様々な生徒個性に対応したプロジェクトを提供できる、ということがあります。向上心の強い生徒には知的好奇心を満たすようなレベルの高い勉強と実地体験を提供します。勉強よりも体を動かすのが好きな生徒には、より実践的なアプローチをすることもできますね。
生徒たちが、学校での勉強を超えて成長するように個々の特徴に合わせたキャリア関連プログラムを学校は準備し提供しています。」と述べている。
What is the Career Programme? | International Baccalaureate®
http://www.ibo.org/programmes/career-related-programme/Learn more about what makes up the International Baccalaureate®Career-related Programme. Find resources and curriculum information, and learn how to offer the programme.
キャリア関連プログラムについての説明(英語)
文部省による国際バカロレア、キャリア関連プログラムの説明
今回の調査の回答者のうち、半分以上の生徒はキャリア関連プログラムを終了させた後、大学などの高等教育へ進んでおり、さらに8パーセントはキャリア関連プログラムで選んだ職種の仕事についている。そして5パーセントはアプレンティス(職業見習い)や仕事に関連した勉強をしている過程だという。
こちらのキャリア関連プログラムを終了した3人ののケースを見ていただきたい。
どのようなキャリア関連プログラムで何の科目を勉強し、その後、どの大学へ行って何を勉強したかがわかる。
ケーススタディ1
選択した教科:IB数学、IB 国際社会におけるIT
大学:ハートフォードシャー大学 宇宙科学技術学科 予備研究
ケーススタディ2
選択した教科:IBビジネスと経営 IB映像
大学:ロンドンキングスカレッジ コンピューターサイエンス
ケーススタディ3
選択した教科:IB映像、IB英語、IBデザインと化学
職業訓練:経営事務所Woody Colesでの高等職業見習い
回答者の77パーセントが、キャリア関連プログラムでの経験は、大学に入った後の研究や調査にとても役立つと感じている。
大部分の生徒はキャリア関連プログラムで学んだ「調査する能力」とともに国際バカロレアで学んだ「知識」が現在の大学での勉強に役立っていると感じている。また、83パーセントの生徒が現在の大学での授業に楽しく取り組んでいると答えている。
調査ではっきり分かったのは、キャリア関連プログラムが 彼らのその後のキャリアに非常に役立っていると実感していることだ。
生徒は
「大学で有利なスタートを切ることができた」
「生涯にわたって学ぶあらゆることに前向きに取り組む意識を身につけた」
「様々な事象に対してグローバルな視点を持つことができた」
「労働倫理を理解し、 社会人としての振る舞いを知ることができた」
などと報告している。
イギリス、ケント州にあるデーンコートグラマースクールで、キャリア関連プログラムを終了したエドワードリーダーさんは、このように述べている。
「かつての私がそうであったように、多くの16歳がこれからの人生で何をしていけば良いのか分かっていません。
CPを経験したことで、私には多くの選択があり、社会に出るにしろ大学に行くにしろ自分に制限はないのだと思えました。
チャンスはどこにでもあるのです。つまり限界はないのです。」
IB Career-related Programme prepares students for future success | Editorial | Relocate magazine
http://www.relocatemagazine.com/articles/education-a-bright-future-the-ib-career-related-programmeResearch has revealed that the majority of graduates of the International Baccalaureate (IB) Career-related Programme (CP) believe that it gives them a head start at University and prepares them for the world of work.
本記事は、Relocate Magazineから転載・翻訳を承諾後掲載された記事です。 本文は、こちらの記事をご参加ください。
国際バカロレアでも、日本未上陸のCP。
2012年に新設されたキャリア関連教育を支援・補完するために開発されたプログラムのCP。
なかなか光が当たることが少ないCPですが、イギリスの例を参考に、日本でも取り組むスクールが出てくるかもしれませんね。
イギリス在住のChika B記者が照らすIB-CPの世界です。
ロンドン発!日本とイギリスで教えている先生に聞いた『国際バカロレアを勉強した先に見えるもの』
http://istimes.net/articles/874近年、注目が高まっている国際バカロレア教育。「グローバルな視点、深い分析力、自らものを考える力がつく教育」と世界で高い評価を受け世界4500校以上で採用されてます。イギリスと日本の両国で、約20年国際バカロレア教育に携わり、現在、イギリスのインターナショナルスクールでもIBで教えているベイグ先生にお話を伺いました。
「世界で使える大学志願資格」国際バカロレア(International Baccalaureate)とは、世界中を転勤する家庭の子どもが、大学に進学できるように国際的に認められる大学志願資格を作ろう!という動きから生まれました。世界的な転勤族の子どもの教育を考えて生まれたと考えるとわかりやすいですね。
国際バカロレアは、国公立・私立・インターナショナルスクールの三つどもえ?
http://istimes.net/articles/799国際バカロレアは、広島と東京が熱い?国際バカロレアは、国公立・私立・インターナショナルスクールがそれぞれ異なる言語で実施しています。なかでも広島はインターナショナルスクール、私立、公立と人口280万人の都市ながら国際教育に積極的です。また、東京は国立、公立も国際バカロレアコースを設置。全国に普及するか、が注目です。
なぜ女子校激戦区の千代田区に国際バカロレア認定校がなかったのか?
http://istimes.net/articles/781女子校の激戦区千代田区。東京都23区の中核区で、千代田区の皇居周辺には国会議事堂、最高裁判所といった国の中枢機関が集まっています。その千代田区にインターナショナルスクールや国際バカロレア認定校など国際教育インフラがありませんでした。理由について一部加筆しました(9月3日)。